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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻10号

1993年10月発行

研究と報告

右中頭蓋窩領域に巨大嚢胞を持つ頭蓋咽頭腫の1例にみられた神経心理学的検査所見の治療による変化

著者: 五十嵐禎人13 丹羽真一14 佐々木富男2

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室 2東京大学医学部脳神経外科学教室 3現,東京都立松沢病院 4現,福島県立医科大学神経精神科

ページ範囲:P.1059 - P.1065

文献概要

 【抄録】 我々は,深刻味のない軽抑うつ状態を主訴として来院し,脳外科的治療により精神症状が改善した,右中頭蓋窩領域に巨大嚢胞を持つ頭蓋咽頭腫の1例について,手術前,手術後1カ月,手術後6カ月の3回にわたって以下の神経心理学的検査を施行し,その経時的変化について検討した。施行した神経心理学的検査は,迷路検査,かな拾い検査,Wisconsin Card Sorting Test,語流暢検査,脳研式記銘力検査,Benton視覚記銘検査(A形式,D形式),Bender Gestalt Test,WAISである。神経心理学的検査所見の経時的変化から,前頭機能と側頭機能とで回復の仕方が異なり前頭機能の回復は比較的長期にわたって追跡する意義があること,右半球機能の回復と注意機能の改善との関連が示唆された。また,術前に口部の不随意運動がみられたが術後著明に消失したことも興味深いと思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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