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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻10号

1993年10月発行

研究と報告

テタニーと高度な肝機能障害を呈した神経性無食欲症の1例

著者: 坂口守男1 白井俊由2 百溪陽三1 吉益文夫1 東雄司1

所属機関: 1和歌山県立医科大学神経精神医学教室 2和歌山県立医科大学第一内科学教室

ページ範囲:P.1081 - P.1087

文献概要

 【抄録】 著明なるいそうを来し,様々な身体的異常所見を呈した神経性無食欲症の1例を報告する。症例は30歳女性で約13年間,やせが持続し自力歩行困難となり入院した。経過中にテタニー発作があり,入院後の諸検査では肝機能障害(GOT 3,340U/l,GPT 1,950U/l,LDH 2,357U/l,γ-GTP 191U/l),貧血,低コレステロール血症などが著しかった。テタニーについてはTrousseau徴候の陽性期間中,ビタミンDの低値,低Ca血症,低P血症が認められ,ビタミンD欠乏性テタニーと考えられた。高度の肝機能障害については輸液と栄養補給を開始すると回復に向かったことより体重減少に基づく飢餓のメカニズムが推測され,その他の異常所見についても体重の増加と共に改善傾向にあり,低栄養に起因していたと考えられた。精神的治療は支持的,共感的対応を心がけながら認知の修正を図った。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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