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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻10号

1993年10月発行

文献概要

研究と報告

Deficit Syndromeの診断基準とその日本語版の信頼性

著者: 鈴木映二12 神庭重信1 丹生谷正史1 稲田俊也3 関谷詩子1 芦刈伊世子1 越川裕樹1 安部康之4 木下徳久1 新谷太1 八木剛平1 浅井昌弘1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部精神神経科 2財団法人井之頭病院 3国立精神・神経センター精神保健研究所 4昭和大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.1097 - P.1103

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 【抄録】 W. T. Carpenterらは,陰性症状が顕著かつ1次的で持続する精神分裂病の1亜型をdeficit syndromeと命名し,その診断基準を定めた。我々はCarpenterの許可を得て,診断基準とその手引きの日本語版を作成した。さらに慢性精神分裂病患者を対象として日本語版の信頼度を検討した。その結果,評定者間信頼度と再試験信頼度は,Cohenのκで,それぞれ0.86,0.93と十分満足のいくものであった。
 従来の陰性症状群の概念の曖昧さに比べ,deficit syndromeの定義はより明確であり,精神分裂病群のより均質な病態群を抽出できると思われた。また,その診断は比較的簡便であり,ある程度の臨床経験を有するものが行えば信頼性が高いため,臨床的にも有用であると思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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