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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻10号

1993年10月発行

文献概要

短報

非定型的経過をとった脳表ヘモジデリン沈着症の1例

著者: 桂木正一1 池上研1 寺岡和廣1 古賀幹浩2 森山茂3 谷宏3 宮川太平1

所属機関: 1熊本大学医学部神経精神医学教室 2国立熊本病院神経精神科 3山鹿回生病院

ページ範囲:P.1109 - P.1111

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 脳表ヘモジデリン沈着症は長期間少量ずつ持続するクモ膜下出血,または脳腫瘍や動静脈奇形などを基盤に反復するクモ膜下出血の結果としてヘモジデリンが脳の表面に沈着し,脳表面の実質や脳神経線維の破壊を来すもので比較的稀な疾患である2〜5,7)。臨床所見では3主徴として神経性難聴,小脳性失調,痴呆が挙げられ,それらの漸進的な増悪が特徴で経過と共に植物状態に陥る1,3,7)。我々はこれまでに報告された中で最も長い23年の経過を持ち,視力喪失,聴力喪失などの脳神経症状が認められるにもかかわらず,発病後8年で症状の進行が停止し,小脳性失調は動揺性ではあるが歩行は可能な段階でとどまり,また知的な面でも明らかな障害を認めない非定型的経過をとった脳表ヘモジデリン沈着症を経験したので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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