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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻11号

1993年11月発行

研究と報告

カプグラ症状および関連症状を呈した1症例についての認知心理学的研究

著者: 畑哲信1 丹羽真一2

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室 2福島県立医科大学神経精神医学講座

ページ範囲:P.1151 - P.1158

文献概要

 【抄録】 カプグラ症状,フレゴリ症状,二重身を次々に呈した症例を報告した。いずれの症状も妄想的症状である,および知覚レベルでの異常に基礎づけられる程度が大きいという共通した特徴を持ち,妄想的誤認症状としてまとめることができた。妄想的誤認症状は分裂病に出現することが多いとされるが,本症例の症状の特徴および事象関連電位検査の結果は分裂病を示唆するものではなく,血漿ホモバニリン酸濃度検査でも中枢ドパミン活性の亢進を示唆する所見は得られなかった。脳波検査やWAIS-Rの所見からは器質性障害が関与している可能性が示唆された。本症例の症状成立機構について,Holzmanらによる思考障害評価尺度(TDI)で測定した思考障害の特徴および事象関連電位の結果をもとに考察した。今後,こうした検査を多数の症例に適用し,妄想的誤認症状の生物学的基礎を解明していくことが重要であると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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