文献詳細
研究と報告
文献概要
【抄録】 研究の目的は,新規に措置入院になった患者の長期予後を追跡し,社会適応状況などを調査することにある。当院に新規に措置入院となった37例の診療録を基にして措置入院となる特有な要因について分析を試みた上,5年後の予後を調査し,対照患者群との間で社会適応状況などについて比較検討した。措置入院患者は男性,精神分裂病で活発な幻覚妄想状態にあり,初回未治療,次いで入院歴はあるが治療中断の患者が多かった。対照群との間で入院日数には有意差がなく,措置入院患者に特有な治療困難性は示されなかった。2回目以降の入院で措置入院が減った結果は治療的動機づけの重要性を示唆している。5年目の比較では,対照群との間で,外来通院を継続する比率,再入院の頻度,地域資源の利用および就労状況などに有意差はなく,入院形態によって社会適応状況には差がなかった。精神分裂病の患者で外来通院が多かった結果は,治療関係の構築が治療継続に重要であることを示した。
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