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研究と報告
分裂病症状の長期経過的な変遷—内因性精神病の経過力動に関する研究2
著者: 岩井一正1 石原さかえ1
所属機関: 1東京女子医科大学神経精神科
ページ範囲:P.1183 - P.1190
文献購入ページに移動 【抄録】 一級症状を核とした分裂病特徴的な妄想幻覚症状について,それらの出現形態の長期推移を病歴調査した。調査対象は,分裂病症状を初発から平均約15年観察しえた24例である。操作的な評価基準を用いて,分裂病症状を〈妄想〉,被影響体験などの自己所属性の障害を包括総称した〈受動体験〉,それに〈幻覚〉の3カテゴリーに分類して経過を追跡した。Janzarikが指摘した,妄想から幻覚への長期的な流れは本対象でも確認できた。すなわち,妄想,幻覚とも経過の各段階に広く観察されるものの,妄想は特に初期段階に,また幻覚は晩期経過段階に雛型的に出現する。受動体験は,この大きな重点推移の過程の中で,妄想よりも幻覚と密接な連関を持って出現した。
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