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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻11号

1993年11月発行

研究と報告

初老期以降発症の躁状態と潜在性脳梗塞の関係—MRIを用いての検討

著者: 藤川徳美1 山脇成人1 東方田芳邦2

所属機関: 1広島大学医学部神経精神医学教室 2県立広島病院精神科神経科

ページ範囲:P.1209 - P.1214

文献概要

 【抄録】 初老期以降発症の躁状態と潜在性脳梗塞silent cerebral infarction(以下SCI)の関係についての検討をMRIを用いて行った。対象は50歳以上にて発症した躁状態患者の12例である(以下manic group)。年齢,性別,症例数を一致させた若年発症の感情障害患者(以下control group)を対照として用いた。卒中発作の既往,局所神経症状を持つ患者は対象から除外した。manic groupには,MRI上66.7%にSCIの合併を認め,controlgroup(16.7%)に比べ合併率は有意に高く,manic groupの約半数は,SCIに伴う器質性の躁状態と思われた。SCIに伴う躁状態では将来,脳卒中発作を起こす危険性が高いため,この時期に抗血小板療法などの脳血管障害に対する治療を開始することは,脳梗塞の早期治療という意味で重要だと思われた。SCIを伴う患者では右前頭葉病変,基底核病変が多く,同部位が躁状態発来の一部に関与している可能性があると考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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