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産褥期の抑うつ状態に影響を及ぼす要因の探索—Zung自己評価式抑うつ尺度を用いて
著者: 伊藤光宏1 管るみ子1 高橋留利子1 白潟稔1 萩原真理子1 本田教一1 太田聖一1 佐藤章2
所属機関: 1福島県立医科大学神経精神医学教室 2福島県立医科大学産婦人科学教室
ページ範囲:P.1223 - P.1229
文献購入ページに移動産褥期は,妊娠と分娩によって変化した母体が,妊娠前の状態に回復するまでの不安定な時期であり,この時期は精神医学的にも様々な障害が出現しやすい。この時期の一過性の抑うつ状態の頻度は高いといわれており11,17),産婦の健康管理において重要な問題である。また産婦の精神状態の悪化は,児にも影響することから8,23),母子精神保健の面でも大きな問題である。
これまでも産褥期の一過性の抑うつ状態については多数の報告がなされている。しかしながら,その頻度や成因については一致した結果をみておらず,対策面でも不十分といわざるをえない。そこで我々は,産褥期の抑うつ状態に影響を及ぼす要因を探り,さらに対策を検討するために,抑うつ状態のスクリーニングに使用されるZung自己評価式抑うつ尺度(ZSDS)25)を産婦に施行し,同時に母体側要因,新生児側要因を調査した。得られた各要因のZung評点を比較検討し,若干の考察を加えたので報告する。
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