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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻12号

1993年12月発行

文献概要

短報

Micrographiaを呈したcarmofur白質脳症の1例

著者: 安田究12 神谷輝1 中嶋照夫3

所属機関: 1京都府立与謝の海病院精神神経科 2現・京都府立医科大学精神医学教室 3京都府立医科大学精神医学教室

ページ範囲:P.1325 - P.1327

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 悪性腫瘍の治療に使用される抗癌剤は,副作用として重篤な中枢神経系の障害を来すことがあり,なかでもmethotrexateによる白質脳症や5-fluorouracil(以下5-FUと略)による小脳症状などが有名である。日本で開発され1981年に承認されたcarmofur(1-hexylcarbamoyl-5-fluorouracil)は5-FUのmasked compoundであり,優れた抗腫瘍効果と広い抗腫瘍スペクトルを持つため広く臨床で使われているが,1982年に大越ら8)により本剤に起因する白質脳症の症例が報告されて以来,同症の発症例は今なお散見されている。
 Carmofur白質脳症はいったん発症すると速やかに投薬を中止する以外に有効な治療法がなく,重篤な不可逆性の神経症状を呈するため,その早期発見が極めて重要である。同症の初期症状としては,従来から歩行障害,構音障害,健忘などが知られているが4),我々は歩行時のふらつきの後micrographiaを呈して発症に気づかれた1例を経験したので,若干の考察を加えて報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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