icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻12号

1993年12月発行

文献概要

短報

精神分裂病様症状を呈した左視床梗塞の1症例

著者: 福良洋一1 多田幸司1 坂井禎一郎1 高橋栄1 鈴木健史1 小島卓也1

所属機関: 1日本大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.1329 - P.1331

文献購入ページに移動
 最近になって,精神障害の発現における視床の役割が注目されるようになっている。視床内には多数の神経核が存在し,それらは内側核群,腹側核群,および外側核群に分類される。精神症状の発現と特に関係の深い背内側核は内側核群に属し前頭葉皮質と密接な線維連絡を有している。Carlsson1)は,視床の感覚のフィルターとしての役割に注目し,精神分裂病では興奮性の脳幹網様体・視床路および視床・皮質路が脱抑制され,その結果,過覚醒,知覚異常,異常行動などの精神症状が出現すると推測している。今回,我々は妄想気分,妄想知覚,被害妄想,幻聴などの精神分裂病様症状および知能低下を来した症例を経験した。この症例でCTスキャンおよびMRIで視床内側核部に小梗塞巣を認めたため,視床内側核の障害と精神症状の関係について考察し,報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?