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特集 加齢に関する精神医学的な問題
痴呆の病態生理と動物モデル
著者: 池田久男1
所属機関: 1高知医科大学
ページ範囲:P.117 - P.125
文献購入ページに移動 本論文は第14回日本生物学的精神医学会(会長松本啓,鹿児島市,1992)におけるシンポジウム「加齢に関する精神医学的な問題」で発表した内容を補足したものである。このシンポジウムでは生理的ならびに病的高齢者脳の病理学や生化学については他演者の発表があるので,ここでは臨床ならびにモデル動物作成の面から,痴呆の病態生理について検討を試みたいと思う。
痴呆は知的機能の障害であり,器質性脳症候群の中核症状である。痴呆は,①一度獲得された知能が,②後天的に生じた器質性脳損傷の結果,③持続的に障害された状態と定義される。この定義により,生来性や周産期の脳障害に基因する知能発達障害(精神発達遅滞),非器質性の痴呆類似の状態(偽痴呆),および比較的短期間に症状の消長がみられる意識障害から痴呆は臨床的に区別される。
痴呆は知的機能の障害であり,器質性脳症候群の中核症状である。痴呆は,①一度獲得された知能が,②後天的に生じた器質性脳損傷の結果,③持続的に障害された状態と定義される。この定義により,生来性や周産期の脳障害に基因する知能発達障害(精神発達遅滞),非器質性の痴呆類似の状態(偽痴呆),および比較的短期間に症状の消長がみられる意識障害から痴呆は臨床的に区別される。
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