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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻2号

1993年02月発行

文献概要

特集 加齢に関する精神医学的な問題

プリオン遺伝子

著者: 立石潤1

所属機関: 1九州大学医学部脳研病理部門

ページ範囲:P.153 - P.157

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■はじめに
 クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)およびその遺伝的亜型といわれるゲルストマン・ストロイスラー病(GSS)の患者脳からは感染性のあるプリオン蛋白(PrP)が抽出される20)。これはニューギニアのクールーや羊のスクレイピーと,それが他の動物に伝播したものにも認められるが,他の疾患にはみられない特異的な蛋白質である。そのためこの疾患群を“プリオン病”と呼ぶこともある。
 プリオン病はかつては“遅発性ウイルス感染症”の代表的な疾患といわれ,実験動物にも伝播させることができるが,ウイルスは発見されず,感染症としての臨床,病理所見にも乏しい。さらにGSSやスクレイピー好発動物にPrP遺伝子の異常が発見され,遺伝病としての性質が最近,注目されてきた。したがって感染病と遺伝病の境界に位置する疾患で,発病年齢と症状の点からは初老期〜老年期痴呆に含まれる病群である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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