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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻3号

1993年03月発行

文献概要

展望

思春期の概月周期病相—周期性精神病と周期性感情病

著者: 阿部和彦1 太田幹夫1

所属機関: 1産業医科大学精神医学教室

ページ範囲:P.230 - P.240

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 思春期のうつ状態には1カ月に近い周期(20〜45日間隔,概月周期と略す)で繰り返す型がある。うつ状態は多くの場合1週間くらい,長くても2週間以内で,病相と病相の間は以前の元気な状態に戻る。症状には個人差があり,昏迷を呈して物を言わなくなり,食事もせず不眠を伴う場合もあるが,より軽い状態では体がだるく,考えがまとまらないと訴え,母親の側を離れず,食欲と睡眠が減少する。被害念慮,関係念慮を示唆する発言や行動を伴う症例も少なくなく,そのような症例は「周期性精神病」として報告されることが多い。また,上記のようなうつ状態を周期的に繰り返した後に躁状態が出現する症例や,錯乱を伴った躁状態がはじめから周期的に出現している症例もあり,後者も「周期性精神病」として報告されている。本稿では周期性精神病の症例をも含め,思春期に概月周期で出現する(2週間以内の)病相について展望し,筆者らの考えを述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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