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研究と報告
文献概要
【抄録】 精神分裂病患者の図と地の把握障害がどのレベルの障害なのかを調べるために2つの実験(実験Ⅰと実験Ⅱ)を行った。実験Ⅰでは図と地の関係の知覚を調べるために,重なった図を取り除いた時に残る図を完成させる完結化課題を,分裂病患者30名,正常者50名に実施した。分裂病患者で完結化がみられない例はほとんどなく,患者に特徴的な完結化はなめらかな連続に従ったものであった。このことから患者においても図と地の関係の知覚は可能なことが示唆された。実験Ⅱでは図と地の関係の表象を調べるために,2枚の厚紙を被験者の眼前に一部を重ねて置きそれらを描画させるカード課題を,分裂病患者40名,正常者40名に実施した。分裂病患者では正常者より二重写しの表現が多かった。このことから患者における図と地の関係の表象障害が示唆された。以上から患者における図と地の把握障害は図と地の関係が表象されないことに由来すると考えられた。
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