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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻3号

1993年03月発行

文献概要

研究と報告

てんかん患者のスタンバーグ課題遂行成績に対するTJ-960の効果

著者: 永久保昇治1 山内俊雄2 相川博2 小島卓也3 松浦雅人3 大久保善朗3 大高忠4 丹羽真一5 熊谷直樹5 福田正人5 安西信雄5

所属機関: 1葛飾橋病院 2埼玉医科大学精神医学教室 3東京医科歯科大学神経精神医学教室 4独協医科大学精神神経医学教室 5東京大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.281 - P.288

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 【抄録】 本研究ではてんかん患者におけるTJ-960の認知機能に及ぼす効果を検討するためにスタンバーグ課題を用い,発作に対する効果とともにTJ-960投与前後での認知機能ことに短期記憶機能の変化を検討した。対象:埼玉医大病院・東京医科歯科大病院・東大病院の精神神経科に通院中のてんかん患者26名(男14名,女12名;平均年齢35±11歳)を対象とし,同じ施設に通院中の別のてんかん患者17名(男12名,女5名:平均年齢40±12歳)を対照とした。方法:1日量7.5gのTJ-960を8週間投与し,投与開始直前と8週投与直後にスタンバーグ課題を2回検査した。対照群の場合も同様に8週間の間隔をおいて2回検査した。結果:投与群で8週後に発作回数が25%以上減少した改善例は8例,不変17例,悪化1例であった。スタンバーグ課題の正反応時間は投与群では1回目955±310ミリ秒,2回目881±277ミリ秒であったのに対し,対照群では1回目845±288ミリ秒,2回目829±269ミリ秒であり,TJ-960投与群で2回目に反応時間が有意に短縮していた。単純反応時間は両群とも1・2回目の間で変化はなかった。以上,TJ-960はてんかん患者の認知機能に改善効果を示すと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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