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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻3号

1993年03月発行

文献概要

研究と報告

単科精神病院入院中の老人患者,特に痴呆老人に関する検討

著者: 堀口淳1 助川鶴平2

所属機関: 1愛媛大学保健管理センター 2医療法人鶯友会牧病院

ページ範囲:P.299 - P.306

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 【抄録】 10の単科精神病院入院中の老人患者438例を対象に分析調査し,抽出された痴呆患者157例全例を診断面接し,以下の結果を得た。(1)老人患者は全体の19.4%で,うち42.5%が精神分裂病で,35.8%が痴呆患者であった。(2)痴呆患者では精神分裂病と比較して有意に入院回数が少なく,入院期間が短く,有配偶者が多かった。(3)痴呆と非痴呆患者とで合併症数に有意差はなかった。(4)痴呆患者の56.7%が老人病棟,60.5%が男女混合病棟,87.9%が閉鎖病棟で加療され,29.9%が抗精神病薬を投与されていた。(5)問題行動の数は入院時より有意に減少し,内容も変化していた。(6)痴呆患者の24.2%が寝たきりで,痴呆の程度分類ではほぼ均等に分布し,身体障害の重篤なものほど痴呆も重度であった。
 以上の結果から,精神病院は主に精神医学的な加療を要する時期の痴呆患者を対象に機能すべきであるが,現状では他施設との役割分担が不十分であることを強調した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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