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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻4号

1993年04月発行

文献概要

特集 現代日本の社会精神病理

高齢化社会と自殺

著者: 高橋祥友1

所属機関: 1東京都精神医学総合研究所精神病理研究部門

ページ範囲:P.385 - P.389

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 1992年には我が国の65歳以上の高齢者は全人口の約12%を占めていたが,西暦2020年までにいっそう増加し,全人口のおよそ24%となると予測されている。さて,高齢者は様々な文化圏でも高い自殺率を示すと報告されてきた。我が国全体の自殺率が1987年以来減少傾向を認め,高齢者の自殺率も減少してきているのだが,現在でも老人の自殺率が高いことに変わりはない。最近では我が国の高齢者の自殺者は全自殺者の29%を占めており,人口の割合に比較して高い自殺率を示している。
 このように今後の高齢人口の増加を考慮すると,高齢者の自殺は現在でも大きな問題であるが,将来も引き続き深刻な問題であり続ける可能性が高い。他の年齢層の自殺に関する研究が精力的に行われてきたのとは対照的に,主として高齢者に焦点を当てた研究は全般的に乏しく,この傾向は国の内外を問わず当てはまる。海外の報告も参考にしながら,このような社会の変化と高齢者の自殺に関して,いくつかの問題点を提示したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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