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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

Zonisamide投与中に幻覚妄想状態を呈したてんかんの8例

著者: 松浦雅人1 先崎章1 大久保善朗1 松島英介1 小島卓也2 融道男2

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部神経精神医学教室 2日本大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.413 - P.419

 【抄録】 外来通院中のてんかん患者にzonisamideを追加投与した後,幻覚妄想状態を呈した8例について,精神症状の発現状況を中心に報告した。症例は側頭葉てんかん6例,前頭葉てんかん2例で,てんかん発症から平均24年を経過し,すべて難治てんかん例であった。精神症状は全例に被害関係妄想を認め,幻聴を伴うものが5例であった。精神症状の発現とzonisamide投与との関連が推定されたのは4例で,発作の抑制あるいは二次性全般化発作の出現と関連して発症しており,交代性精神病あるいは発作後精神病と考えられた。これらの例は治療に対する反応もよく,比較的短期間で寛解した。他の4例は,明らかな心因を契機に反応性に精神症状が出現した2例を含め,粘着的性格傾向と精神症状の発現との関連が推定された。これらの例は治療への反応も悪く,幻覚妄想状態が持続する傾向がみられた。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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