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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻5号

1993年05月発行

研究と報告

“痴呆”を伴う失語症患者における高次脳機能検査(老研版)の成績—失語症群および痴呆群との比較による検討

著者: 綿森淑子1 福迫陽子2 物井寿子3 笹沼澄子1

所属機関: 1(財)東京都老人総合研究所言語・認知部門 2東京大学医学部音声言語医学研究施設 3東京都老人医療センター言語聴覚科

ページ範囲:P.481 - P.488

文献概要

 【抄録】 “痴呆”を伴う失語症患者の特徴を明らかにする目的で,見当識,記憶,言語,視空間認知・構成面の20の検査から構成される高次脳機能検査(老研版)を実施し,失語症および痴呆患者の成績と比較した。対象は「失語症+“痴呆”」群19名,およびこれと年齢・教育歴をマッチさせた失語症群38名および軽〜中等度の痴呆群40名である。「失語症+“痴呆”」群は言語面の多くの検査および視空間認知・構成面において,痴呆群と失語症群の中間的パターンを示した。一方,物語の記憶の成績は3群中最も低かった。判別分析による的中率は84.5%と高く,痴呆患者の高次脳機能障害の分析を目的に作られた高次脳機能検査は,これら3群の弁別にも役立つことが示された。今後は,今回明らかとなった検査項目・方法上の問題点を考慮し,短時間で実施可能な臨床的実用性を備えた評価法への応用を検討してゆく予定である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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