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文献概要

研究と報告

躁うつ症状,てんかん発作を繰り返した橋本病,甲状腺原発悪性リンパ腫の1例

著者: 林輝男1 藤川徳美1 工広紀斗司1 本橋伸高1 山脇成人1

所属機関: 1広島大学医学部精神科神経科

ページ範囲:P.515 - P.520

 【抄録】 躁うつ症状,てんかん発作を繰り返し,橋本病,甲状腺原発悪性リンパ腫と診断された症例を経験した。
 50歳時に甲状腺腫脹を指摘され,1年後から躁うつ症状が出現し,3年後からけいれん発作が出現した。また,リチウム治療中に振戦,前傾姿勢,小刻み歩行が出現した。入院時著明な甲状腺腫脹を認め,生検,甲状腺ホルモン検査,マイクロゾームテスト,サイロイドテストの結果より橋本病による粘液水腫と診断された。臨床経過より甲状腺機能異常による躁うつ症状,けいれん発作と考えた。また,その後の再検により橋本病により誘発された悪性リンパ腫と診断された。そこで早期診断,早期治療の必要性を強調し,甲状腺疾患における精神・神経症状,リチウム療法の問題点,悪性リンパ腫との関連について若干の考察を加えて報告する。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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