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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

持続性微熱と慢性疲労感を呈する症例に対するtofisopam(グランダキシン)の効果—慢性疲労症候群との関連について

著者: 武田雅俊1 松本由子1 澤温2 高石穣1 井上健1 西村健1

所属機関: 1大阪大学医学部精神医学教室 2さわ病院

ページ範囲:P.521 - P.528

 【抄録】 心理的・社会的ストレスをきっかけに増悪した持続性微熱と全身倦怠感を呈した3症例にtofisopam 150〜300mgを投与したところ,微熱が速効性に改善し倦怠感などの身体症状が軽減した。tofisopam(グランダキシン)は視床下部自律神経中枢に作用する薬剤として自律神経失調症に対して広く使用されているが,持続性微熱をも改善しうることが示された。3症例は精神医学的には,それぞれ遷延性うつ病・自律神経失調症・神経症性抑うつ状態と診断され,共通して慢性疲労感と持続性微熱を呈していた。近年,慢性疲労を呈する疾患単位として慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome;CFS)が注目されているが,米国防疫センターによるCFS作業症例基準では精神疾患を除外することが要件の1つとなっており,この基準をそのまま適用することはできない。精神科領域では持続性微熱と共に慢性疲労感を訴える患者は多く,このような症例の中にはtofisopam投与により微熱が消失する症例があることを報告し,CFSの診断に重要視されている持続性微熱の症状についてCFSとの関連性を中心に考察した。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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