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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻6号

1993年06月発行

研究と報告

重篤な眼球自傷行為の1症例

著者: 大蔵雅夫1 苅舎健治1 江川晶子2 石元康仁1 山口浩資1 川端茂雄2 仁木繁2 生田琢巳1

所属機関: 1徳島大学医学部神経精神医学教室 2南海病院

ページ範囲:P.623 - P.626

文献概要

 【抄録】 症例は37歳の女性で,22歳時,精神分裂病を発症して以来,数カ所の精神科病院へ入退院を繰り返している。その間,幻覚,妄想,拒絶症,自傷行為など多彩な精神症状が認められ,保護室に収容されていたが,自らの手で自分の左眼球をえぐり,眼筋断裂,眼球脱出を来し,左眼球摘出術を受けた。眼球摘出のような自己の器官を取り去るすさまじい自傷行為は,なかでも精神分裂病に多いとされている。本症例の眼球自傷の動機として,作為体験または幻聴の支配が推定されたが,MacleanとRobertsonが自己眼球摘出の症例に比較的共通にみられると指摘する精神力動的要因は見い出せなかった。また,本邦においてこのような眼球自傷行為の報告が欧米に比較して少ない要因を文化,特に宗教の相違と,信仰率の相違によるものと考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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