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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻6号

1993年06月発行

研究と報告

精神分裂病圏患者の開瞼時眼球運動—ベントン視覚記銘とWAIS絵画完成図版との比較

著者: 松井三枝1 倉知正佳1

所属機関: 1富山医科薬科大学医学部精神神経医学教室

ページ範囲:P.635 - P.641

文献概要

 【抄録】 精神分裂病圏患者12名と健常対照者12名に対して,ベントン視覚記銘検査と絵画完成問題施行時の眼球運動を測定し,図版による差異を比較検討した。眼球運動測定は,対象者の1.2m前方のスクリーン上にWAIS絵画完成図版およびベントン図版を呈示し,その際の注視点の動きをアイマーク・レコーダーを用いて解析した。その結果,分裂病圏患者と健常者双方ともベントン図版よりも絵画完成図版での平均移動距離が短く,より細かなsaccade運動がみられた。第2に,ベントン視覚記銘では第7図版で,絵画完成では太陽図版で分裂病圏患者と健常者の眼球運動の差異が大きかった。第3に,健常者では絵画完成4図版間で図版の効果がみられたが,患者ではみられなかった。第4に,健常者では絵画完成の注視点数は,正答図版よりも誤答図版のほうが多く,正答に達しない時に,積極的な探索的眼球運動がみられたが,患者の探索運動は乏しいままにとどまっていた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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