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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻6号

1993年06月発行

研究と報告

全生活史健忘の経過中にP300の特徴的変化を認めた1例

著者: 桐野衛二1 増村年章1 文元秀雄1 四宮雅博1 井上令一1

所属機関: 1順天堂大学精神医学教室

ページ範囲:P.649 - P.653

文献概要

 【抄録】 今回我々は,全生活史健忘の経過中の事象関連電位(ERP)において,健忘中はP300が出現せず,記憶回復後は明瞭なP300が出現するという特徴的なERPの変化を示した1例を経験した。この所見について,記憶の障害とP300のgeneratorの局在,およびヒステリー機制の3つの観点から考察した。P300のgeneratorとして有力視されているものに,海馬,辺縁系があるが,健忘中P300が出現しなかったということは,ヒステリー機制が,海馬,辺縁系を含む記憶系の機能と関連性を持つ可能性を推察しえた。この所見は極めて興味ある知見であり,ERPの新しい臨床応用の可能性を示唆するものと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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