文献詳細
短報
文献概要
1963年Lejeuneらは,猫のような啼き声を主徴とし,重度の精神身体発育障害,種々の多発性奇形などの症状を有し,常染色体B群の1本の短腕部に部分欠損のある3症例を猫啼き症候群(maladie du cri du chat)として初めて報告した。その後染色体分析研究の発展に伴って症例報告数が増加し,本邦では1965年の浦野らの報告以来,現在まで50例以上の報告がなされている。しかしその精神症状については,これまで知能障害(精神遅滞)が記載されているのみであり,特殊な精神症状の記載はなされていない。
さて幼児自閉症は,近年の研究の趨勢によれば,決して単一の疾患単位ではなく,周産期異常,先天性の代謝障害,遺伝などいくつかの病因によって起こる1つの症候群であろうとされている。染色体異常としてはこれまでDown症候群11),脆弱X症候群4),long Y2,5),XYY症候群1,7)などの患者が幼児自閉症様の症状群を示すことがあると報告されている。今回我々は幼児自閉症様の症状群を示した猫啼き症候群の1例を経験したので報告する。
さて幼児自閉症は,近年の研究の趨勢によれば,決して単一の疾患単位ではなく,周産期異常,先天性の代謝障害,遺伝などいくつかの病因によって起こる1つの症候群であろうとされている。染色体異常としてはこれまでDown症候群11),脆弱X症候群4),long Y2,5),XYY症候群1,7)などの患者が幼児自閉症様の症状群を示すことがあると報告されている。今回我々は幼児自閉症様の症状群を示した猫啼き症候群の1例を経験したので報告する。
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