文献詳細
「精神医学」への手紙
Letter—少量のcarbamazepine追加を契機に悪性症候群を生じた高齢者の1例
著者: 寺尾岳12 有吉祐14 小嶋秀幹12 寺尾未知13 江藤陽1
所属機関: 1小嶺江藤病院 2産業医科大学精神医学 3人間工学 4久留米大学精神神経科
ページ範囲:P.682 - P.682
文献概要
本症例の呈した状態像は悪性症候群(SM)と診断4)される。CBZが追加される2カ月前まで,bromperidolが12mg/日投与されていたがSMは生じなかった。したがって,SMがbromperidol 6mg/日単独の作用により生じたとは考えにくい。他方,CBZの薬理作用1)やCBZによる過鎮静が,bromperidolの薬理作用とあいまって悪性症候群発症を促進した可能性がある。Goldwasserら2)もCBZを投与後にSMが再発した症例を報告しており,dopamine D2 receptor遮断作用をほとんど有さないCBZとSMの関連が注目される。最近,今泉らは強力なD2 blockerの1つであるtiaprideを追加することでSMを発症した85歳男性例を報告した3)が,高齢者においてはD22 blocker以外の向精神薬の追加もSMの発症に関与する可能性があることを銘記すべきである。
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