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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻7号

1993年07月発行

研究と報告

児童期より14年の経過を追った非定型精神病の1例—児童期の病像についての検討を中心に

著者: 武井陽介12 福田正人1 丹羽真一1 松下正明1

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室 2現,東京大学医学部解剖学教室

ページ範囲:P.753 - P.759

文献概要

 【抄録】 児童期から約14年間追跡した非定型精神病の経過を報告する。本症例の最初のエピソードは9歳3カ月に始まり,強迫症状と抑うつ的な症状を主徴としていた。成人以後,双極性の気分変調が明らかとなり,これに随伴した精神運動性の増減に加えて,多彩な妄想と意識障害を伴う非定型な病相期を呈した。9歳3カ月のエピソードを成人以後の非定型病像と比較してみると,精神運動性の低下,不機嫌・不快気分の存在,強迫行為の出現など,後の病相期と共通の要素が認められ,内因性病相が小児期に未熟な病像をとって現れたと考えられた。本報告では,長期経過を追った上で各時期の病相を比較し,このような見方に基づく知見の蓄積が児童精神疾患の診断と,疾患の病態の理解に寄与する可能性について述べた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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