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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻7号

1993年07月発行

文献概要

研究と報告

分裂病様症状を呈したMorgagni-Stewart-Morel症候群の1例

著者: 本多直弘1 赤埴豊1 吉野祥一1 福島淳1 奥田治1 切池信夫2 山上栄2 川北幸男34

所属機関: 1大阪市立桃山市民病院精神神経科 2大阪市立大学医学部神経精神医学教室 3久米田病院 4前:大阪市立大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.761 - P.766

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 【抄録】 Morgagni-Stewart-Morel症候群,すなわち前頭骨内面骨過形成(hyperostosis frontalis interna,以下HFI)に内分泌障害および精神神経症状を合併した1例について報告した。症例は42歳,女性。22歳時に閃輝暗点,嘔気,視力障害で初発後まもなく昏迷様状態となり,後に幻覚を伴う精神病状態に移行した。以後精神分裂病としての治療経過中強い記銘減弱や頭痛,さらには肥満や内分泌障害が認められた。現在はこれら合併症状に加え,情意障害と知的機能の障害を主徴とする状態像を呈している。頭部単純X線や頭部CTでHFIを認め,脳波や脳血流シンチをはじめとする諸検査では前頭葉を中心とした脳機能や脳血流の異常が見い出された。長い経過にわたる本例の精神症状が精神分裂病の単なる合併ではなく,前頭葉障害を中心とする器質性脳症候群で生じた可能性を指摘するとともに,精神症状および他の症状とHFIとの関連について文献的に考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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