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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻7号

1993年07月発行

文献概要

短報

脳血流の改善をみた進行麻痺の1治療例—123I-IMPおよび133Xe吸入SPECTによる検討

著者: 向井誠1 切池信夫2 前久保邦昭3 藤江博4

所属機関: 1久米田病院 2大阪市立大学医学部神経精神医学教室 3前久保クリニック 4藤江クリニック

ページ範囲:P.781 - P.784

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 進行麻痺はTreponema pallidumの感染により,主に脳実質が冒されるものである。梅毒感染後,10〜20年を経て進行性の痴呆を中心とした精神神経症状を呈するが,梅毒の治療にペニシリンが導入されて以来,その発生は激減し,今日では極めて稀な疾患とされている3)
 今回我々は,幻覚妄想状態を前景として発症し多彩な精神神経症状を呈した進行麻痺を治療する機会を得た。本例では頭部CTならびにMRIにおいては明らかな異常を認めなかったが,N-isopropyl-p-[123I]iodoamphetamine(以下IMPと略す)および133Xeを用いるsingle photonemission computed tomography(以下SPECTと略す)において,右前頭葉から右頭頂葉に脳血流低下を認め,これがペニシリン治療により臨床症状の改善と共に著明な改善を認めるなど,興味ある知見を得たので若干の考察を加えて報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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