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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

通常の社会生活を営む通院てんかん患者の抑うつ症状

著者: 久郷敏明1 福間満美1 細川二郎1 三野進1 佐藤仁1 磯島玄1 洲脇寛1 細川清2

所属機関: 1香川医科大学精神神経科 2香川医科大学

ページ範囲:P.821 - P.827

 【抄録】 通常の社会生活を営む76例の成人通院てんかん患者を対象に,Beck Depression Inventory,Zung Self-Rating Depression Scale,Washington Psychosocial Seizure Inventoryを用いて,抑うつと臨床特徴との関連を検討し,以下に要約される結果を得た。群全体では,抑うつの程度は健常者との間に著しい相違はなかった。しかし,顕著な抑うつ傾向を示す一群の患者の存在が示唆された。てんかん焦点部位と抑うつとの関連をみると,部分焦点の存在が高い抑うつ傾向と関連していたが,側頭葉と非側頭葉,側頭葉の左右差の対比では有意差はみられなかった。全般てんかん患者の数値は,健常者よりも低値であった。抑うつは,発作抑制状況によっては,顕著な影響を受けなかった。抑うつの性状は,疾患自体の影響,社会学的環境に規定されるよりも,情緒・対人関係面を主とする心理学的要因と強く関連していた。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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