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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻8号

1993年08月発行

シンポジウム 精神障害者の権利と能力—精神医学的倫理のジレンマ

痴呆性老人の権利の保護とその問題点—精神病院外で

著者: 柄澤昭秀12

所属機関: 1東京都老人総合研究所 2現,日本社会事業大学

ページ範囲:P.867 - P.874

文献概要

■はじめに
 高齢者人口の増加は必然的に老人患者数の増加をもたらす。このことは加齢と関係の深い老人性痴呆について特に顕著である。8年前に約80万人であった我が国の痴呆性老人数は現在ではすでに100万人を越えている。そしてその有病率が低下しないかぎりその数は今後もさらに急激な増加を続け,10年後には150万人,20年後には270万人を越えると推定されている。痴呆対策が我が国の重大な緊急課題であることは今や周知の事実である。
 さて痴呆問題への社会的関心が高まり,痴呆性老人の生活の実態が明らかになるにつれ,痴呆性老人の人権あるいは権利の保護という問題についてあらためて検討することの必要性が実感されるようになった。筆者自身の経験でも,調査や相談あるいは診療の場面で人権無視,人権侵害と思われる事態を見聞することは決して稀ではない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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