icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻9号

1993年09月発行

展望

抗うつ薬—現状と課題

著者: 上島国利1

所属機関: 1昭和大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.916 - P.928

文献概要

■はじめに
 うつ病治療の多次元的アプローチのうち抗うつ薬による薬物療法は,各種治療法の中では,治療効果も高く,安全であり,簡便に施行できることから多くの臨床家により,今日のうつ病治療の中心として位置づけられている。
 現代の抗うつ薬開発の動向は,従来の抗うつ薬に類似し,それらの長所を高め,短所を是正した,より洗練されたものの開発と,従来とは全く違った発想のもとに開発されつつある物質と,2つの方向性を持っている。また新しい抗うつ薬の中には,単にうつ病のみでなく,多様な適応を持つものも誕生しつつある。将来は,抗うつ薬という名称は不適切となり,“amine uptake inhibitors”や“amine receptor regulators”が使われるかもしれない5)
 抗うつ薬の開発は常にうつ病病態生理の解明に密接に関連しつつ進歩しており,その奏効機序の解明が,うつ病の本態の解明に寄与している。一方,うつ病の病態生理が明らかになるに従い,それらの機能障害の是正を目指し抗うつ薬の開発も活発に行われることになる。また抗うつ薬の進歩発展にDSM-Ⅲ,DSM-Ⅲ-Rなどの操作的診断基準の果たした役割も忘れてはならない。信頼できる科学的診断がなされると,抗うつ薬の効果がより明確となるからである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら