icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻9号

1993年09月発行

文献概要

研究と報告

非痴呆者大脳皮質のアミロイドβタンパクの検討—軽度アルツハイマー型老年痴呆との比較

著者: 池田研二1 羽賀千恵1 藤嶋敏一2 加瀬光一2 水谷喜彦3 小阪憲司4

所属機関: 1東京都精神医学総合研究所神経病理部門 2東京都立松沢病院精神科 3東京都立松沢病院神経内科 4横浜市立大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.959 - P.966

文献購入ページに移動
 【抄録】 非痴呆者の大脳皮質に出現するアミロイドβタンパク沈着(AmD)についての基礎的データを得,その意義を知るために,40歳代から80歳代までの非痴呆剖検例125例と,対照として軽度アルツハイマー型老年痴呆(SDAT)5例について,AmDの出現の有無と程度を,海馬を通るメセナミン銀染色半球切片で第3側頭回,島回,帯状回について検討した。程度はabsent〜severeの5段階で評価した。その結果,AmDは出現頻度,程度ともに老齢化に伴い増加するが,増加率は80歳代で最も高かった。すでに40歳代で少数ながらAmDを示す例がある一方で,80歳代に至ってもなお43.4%が陰性で,80歳代での陽性例のうちsevere例は21.7%であった。なお,severe例でのAmDの程度は軽度SDAT例に匹敵していた。これは,高齢に至ってもAmDを来さない一群があることと,痴呆に至るのはsevere AmD例のうちの一部であることを示している。AmDの形態は老人斑の各亜型に対応しており,AmDが軽度の段階ではびまん性老人斑のみで構成されることが多いが,高度になるにつれて定型老人斑と原始老人斑を伴う例が増加し,軽度SDATでの構成に近づく。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?