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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻1号

1994年01月発行

特集 精神科治療の奏効機序

[感情障害の治療]

rapid cyclerの薬物治療

著者: 假屋哲彦1 佐藤佳夫1

所属機関: 1山梨医科大学精神神経医学教室

ページ範囲:P.37 - P.41

文献概要

 感情障害の中には,頻回に病相を繰り返すタイプが存在することが知られていたが,三環系抗うつ薬の出現により,治療中の躁転を含めて病相の不安定化と頻発化を生ずる場合のあることが気づかれるようになった20)。さらにリチウム(lithium;Li)の導入により,病相再発予防効果という点で治療の進歩がみられたが,Liは,双極型感情障害の約30%ではあまり効果を示さないことが知られている16)。そしてLiの病相予防効果を検討する中で,1974年,DunnerとFieve9)によりrapid cyclerという概念が用いられた。すなわち彼らは,Li療法施行直前の1年間に4回以上の病相の出現をみる躁うつ病者では,Liが病相予防に奏効しにくいことを報告し,年4回以上の病相を持つものをrapid cyclerと呼んだ。その後,このrapid cyclerの概念とそれに関与する因子についての検討が多くなされるようになった6,12,33,34)。一方,rapid cyclerが難治であり,Liやカルバマゼピン(carbamazepine;CBZ)などの気分安定薬(mood stabilizer)が使用されることが多く,気分安定薬の併用療法も有効であることが報告されてきた。しかし,これらのrapid cyclerの薬物治療の奏効機序に関しての詳細はいまだ不明な点が多い。本稿では,rapid cyclerの治療に用いられる薬物の薬理作用に注目しながら述べることにする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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