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特集 精神科治療の奏効機序 [神経症圏障害の治療]
摂食障害の薬物療法
著者: 山上榮1 切池信夫1 永田利彦1
所属機関: 1大阪市立大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.59 - P.63
文献購入ページに移動摂食障害は大別して神経性食欲不振症(Anorexia nervosa,以下AN)と神経性過食症(Bulimia nervosa,以下BN)とに分けられるが,その他,非定型のANやBN,心理的障害に関連した過食や嘔吐,特定不能の摂食障害,非器質的原因による成人の異食症,心因性の食欲不振症などが記載27)されている。その病態は多岐にわたっており,神経症から精神分裂病類似の症状を呈する者までかなり広くとらえられている。最初はANで発症した例が,経過中に次第にBNに移行する例,体重抑制のために意図的に嘔吐し,下剤や利尿剤などを乱用する例,過食で嘔吐を伴う例など様々である9,10,25)。摂食障害の発病には,種々の因子が関与しているため,単独の治療では成功しないことが多い。摂食障害について薬物を用いる場合も同様で,他の治療法との組み合わせが必要である。薬物の効果判定についても,対象の選択をよほど厳格にしないと,二重盲検比較試験を実施しても,統一した成果が得られないことになる。本稿ではこうした点を加味しつつ,現時点における薬物療法の有効性やその限界について解説する。
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