文献詳細
特集 精神科治療の奏効機序
文献概要
■はじめに
悪性症候群は,高熱,筋強剛などの錐体外路症状,多彩な自律神経症状,意識障害などからなる向精神薬の治療中に出現する副作用である。1960年代Delayら2)によって「向精神薬の副作用のうちで最も重篤だが,最も認識されていない稀な病態」として紹介された。事実,当時の死亡率は20%以上であったが,1980年以降その死亡率は徐々に低下し,現在は10%以下になっている26)。その最も大きな理由は,悪性症候群の知識が普及し,早期に適切な対応がなされるようになったことによる。さらに,最近はいくつかの有力な治療薬が登場したことも,その予後の改善に影響を与えていることは否定できない。これまでに悪性症候群に対してはいろいろな薬物が試みられてきたが(表),本稿では,ある程度その報告例が多く,その有効性が確認されているものについて解説し,合わせてその薬理学的奏効機序について述べることにする。
悪性症候群は,高熱,筋強剛などの錐体外路症状,多彩な自律神経症状,意識障害などからなる向精神薬の治療中に出現する副作用である。1960年代Delayら2)によって「向精神薬の副作用のうちで最も重篤だが,最も認識されていない稀な病態」として紹介された。事実,当時の死亡率は20%以上であったが,1980年以降その死亡率は徐々に低下し,現在は10%以下になっている26)。その最も大きな理由は,悪性症候群の知識が普及し,早期に適切な対応がなされるようになったことによる。さらに,最近はいくつかの有力な治療薬が登場したことも,その予後の改善に影響を与えていることは否定できない。これまでに悪性症候群に対してはいろいろな薬物が試みられてきたが(表),本稿では,ある程度その報告例が多く,その有効性が確認されているものについて解説し,合わせてその薬理学的奏効機序について述べることにする。
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