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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻1号

1994年01月発行

特集 精神科治療の奏効機序

電気けいれん療法の奏効機序—うつ病とパーキンソン病について

著者: 樋口久1 菱川泰夫1

所属機関: 1秋田大学医学部精神科学教室

ページ範囲:P.69 - P.73

文献概要

■はじめに
 電気けいれん療法(以下ECTと略す)については,1940年頃から精神分裂病だけではなく,様々な精神疾患に対する有効性が検討されてきた。現在では,ECTのうつ病に対する治療効果は広く認められており,妄想や希死念慮が強くて急速な治療効果発現が求められるうつ病患者に対しては,極めて有効な治療方法である5)。一方,最近になって,パーキンソン病などドパミン(以下DAと略す)系ニューロンの機能不全による疾患に対してもECTが有効であるとの報告がある1,3,7)
 ECTがうつ病に対して有効であることから,うつ病のモノアミン仮説に従い,髄液中や血中のノルエピネフリン(以下NEと略す),セロトニン(以下5-HTと略す)およびその代謝物濃度のECTによる変化を調べる研究がなされてきた。また,モノアミンニューロンの活動により放出量が変化することが知られている,成長ホルモン(以下GHと略す)やプロラクチン(以下PRLと略す)などのホルモン放出に及ぼすECTの影響も検討されてきた。動物実験においては,ECTによる脳内の神経化学的変化と抗うつ薬の薬理作用との類似性を検討する研究もなされてきた12)。動物実験においては,ECT反復施行による脳内β-NEレセプターの感受性低下などの一定の知見が得られているものの,臨床生化学的研究や臨床神経内分泌学的研究では一様な結果は得られていない。
 本稿では,うつ病とパーキンソン症候群に対するECTの作用機序について,現在までの臨床研究の結果を踏まえ,動物実験の成績を参考にして考察を加えたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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