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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻1号

1994年01月発行

研究と報告

恐慌性障害の症例研究:4—恐怖症状についての検討

著者: 塩入俊樹1 村下淳1 加藤忠史1 高橋三郎1

所属機関: 1滋賀医科大学精神医学講座

ページ範囲:P.97 - P.101

文献概要

 【抄録】 恐慌性障害においてみられる恐怖症状について,恐慌性障害の166症例を基に検討した。対象患者群を恐慌性障害のDSM-Ⅲ-R診断基準におけるC項目の恐慌発作中発現する13症状の中から「死の恐怖」および「気が狂ったり,何か制御できないことをしてしまうという恐怖」の2つの「恐怖症状」の有無により2群に分類した。上記の「恐怖症状」を持たない患者群では恐怖症状を持つ群に比べて空間恐怖の合併率が有意に低かった。さらに「恐怖症状」の有無とDSM-Ⅲ-R診断基準の重症度との間には有意な相関が認められた。また上記の「恐怖症状」を2つとも持つ群で他の恐慌発作中に発現する各症状の出現率が低い傾向が認められた。最後に「恐怖症状」を持たない群のみをDSM-Ⅲ-Rの重症度により分類してみると,発汗,嘔気または腹部の不調および知覚異常の項目の出現率が重症群において有意に高かった。このことから,恐怖症状の有無が恐慌発作時に出現する症状の種類に関連があることが示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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