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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻10号

1994年10月発行

研究と報告

無断離院をきっかけに集中内観を導入したヒステリーの1症例

著者: 笹野友寿1 渡辺昌祐1

所属機関: 1川崎医科大学精神科学教室

ページ範囲:P.1049 - P.1056

文献概要

 【抄録】 視覚異常,聴覚異常,過眠などを呈し,無断離院を繰り返す23歳女性のヒステリー患者に対して集中内観を行った経験を報告する。最後の無断離院の夜,「こんなにたくさんの人に迷惑をかけて私は最低の人間です。」と内省を示した。そこで,集中内観を提案したところ同意を得ることができた。父に対する依存と攻撃が顕著であったため,父に対してのみ内観してもらった。集中内観前後で内観評点は1点から3点まで上昇しており,内観は深まったと思われた。集中内観後にヒステリー症状は消失し無断離院もみられなくなり退院となった。しかし,集中内観後2カ月経過した頃から内省的思考が薄れていった。集中内観から10カ月後,自己の未熟性に対して嫌悪感を抱き,自発的に再び集中内観を受ける。そして前回以上に深い内省的思考を獲得し,生まれて初めて仕事に就くことができた。第1回の集中内観から32カ月後,第2回から22カ月後の社会適応は良好である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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