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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

ハロペリドール減量中に重篤な頸部前屈と呼吸障害を呈した破瓜病の1例

著者: 丸井規博1 赤嶺秀明2 橋本憲司2 越本武志1

所属機関: 1京都大学医学部精神科 2岩倉病院

ページ範囲:P.1065 - P.1070

 【抄録】 症例は36歳,男性。重篤な破瓜病で,14歳にて発病後のほとんどを自宅にて無為・不潔状態で過ごしていた。常同行為から左脛骨を骨折したことをきっかけに入院治療が開始されたが,ハロペリドール減薬中に重篤なantecollisを呈した。このantecollisに対し,様々な薬物治療を施したが,ジアゼパムの静脈内投与以外は著効は示さず,理学的治療が有効であった。また,antecollisを呈してから2度,窒息を起こした。antecollisは薬剤による遅発性ジストニアであると思われるが,一方でこの症例の年齢不相応な大脳・小脳萎縮となんらかの関連があるのではないかと推測した。また生命脅威的な呼吸障害は,声帯筋のジストニアではなく,antecollisの急性増悪によるものであると考えられた。文献的にも検討し,頭—頸部ジストニアにおいては呼吸障害の出現に細心の注意を払うべきことを指摘した。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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