icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻11号

1994年11月発行

展望

気分障害の神経科学—今,見えてきたもの

著者: 野村総一郎1

所属機関: 1国家公務員等共済組合連合会立川病院神経科

ページ範囲:P.1126 - P.1137

文献概要

 気分障害の生物学的病因をめぐっては,古くからモノアミン仮説という大きな流れがある。この仮説は古臭い考えのように思われがちだが,否定すべき明確な論拠も未だないのである。かと言って,この仮説に大きく歩み寄った所見も見い出されてはいない。いわば「塩漬け状態」になっており,生物学的病因論全体が暗礁に乗り上げているとみる向きもあるようである。しかし,一方で最近の基礎神経科学のすさまじいまでの進展は,精神医学にも確実に影響を及ぼし,新しい方法を駆使した所見が,気分障害についても次々と発表されていることにも注目せねばならない。それらを子細に見ると,個々には本質を突いているとも見える所見が集積されつつあることに気づく。本稿ではモノアミン系を中心として,最近提唱されている生物学的仮説,神経科学の新知見に基づいて,気分障害の病因に関連して今何が見えるのか,近い将来に何が見えてくるのかを展望する。ただその一方で,生物学的研究にありがちな誤謬についても強く意識し,問題点を指摘しながら論を進めたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら