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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻11号

1994年11月発行

文献概要

研究と報告

精神症状で初発しecholaliaを呈した進行性核上麻痺の1剖検例

著者: 織田辰郎1 木暮龍雄1 冨永格2 女屋光基2 三村將2 加藤雄司3 岩淵潔4 羽賀千恵4

所属機関: 1国立下総療養所 2慶応義塾大学医学部精神神経科教室 3明治学院大学社会学部 4東京都精神医学総合研究所神経病理部門

ページ範囲:P.1159 - P.1166

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 【抄録】 45歳時に被害妄想で初発し,51歳時に錐体外路症状を発現,全経過8年で死亡した53歳女性の1剖検例を報告した。臨床的,病理学的所見から進行性核上麻痺(PSP)と診断したが,臨床症状は神経症状にはるか先行して精神症状で発病し,echolalia(反響言語)を認めたことなどが特徴的であった。PSPにおいてecholaliaがみられたとする報告は非常に少なく,その内容の記載,剖検報告は本例が初めてである。神経病理学的には大脳皮質,視床に変性を認め,echolaliaとの関連が考えられた。大脳皮質では各葉の第Ⅲ層の錐体細胞に広範に多数の硬化萎縮した神経細胞およびAlzheimer原線維変化(NFT)を認めた。これはPSPとAlzheimer病との疾患類似性を考える上で注目すべき所見である。電顕的にはNFTは大脳皮質にstraight tubules,海馬,青斑核にpaired helical filaments,neurofilamentsの3種類の形態が観察された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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