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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻11号

1994年11月発行

文献概要

研究と報告

感情障害エピソード反復の周期性と季節性

著者: 押谷葉子1 山田尚登1 高橋三郎1

所属機関: 1滋賀医科大学精神医学講座

ページ範囲:P.1197 - P.1202

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 【抄録】 DSM-Ⅲ-R診断基準で双極性障害(うつ病性および躁病性),大うつ病(単一エピソードおよび反復性)を満たした患者のうち急速交代型の双極性障害を除く87名の患者で,躁病エピソードとうつ病エピソード発症の周期性と季節性を検討した。
 うつ病エピソードは春に,躁病エピソードは夏に最も多くみられた。また,大うつ病単一エピソードでは秋に第2のピークを示した。しかし,いずれも季節性に統計学的な有意の差はなかった。周期性に関しては,双極性障害では隣接するエピソードの間隔には明らかな周期性を認めなかったが,躁病エピソードが12カ月後の再発,また大うつ病反復性においても12,24カ月前後の再発が多く認められ,これらの感情障害が1年および2年後の同じ季節に再発する傾向が認められた。またこの傾向は躁病エピソードについては統計学的に有意であった。これらのことから発症の季節性または周期性について,感情障害の下位分類に差が認められ,しかも,大うつ病反復性のうつ病エピソードと双極性障害の躁病エピソードに12カ月を基本周期とする周期性が存在していることが示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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