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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻11号

1994年11月発行

短報

覚醒剤と有機溶剤の交代乱用の1例における精神病症状の比較

著者: 浅見隆康12 宮本正典12 町山幸輝3

所属機関: 1伊勢崎市民病院精神科 2現,群馬県立佐波病院 3群馬大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.1203 - P.1205

文献概要

 覚醒剤精神病の成立過程においては,過去の有機溶剤乱用が少なからず影響を及ぼす可能性が示唆されている。小沼2)は,有機溶剤乱用歴を有する場合には,数回の覚醒剤の使用により精神病症状が出現する可能性があるという。また有機溶剤と覚醒剤を両者同時に使用した場合は,想像以上に激しい精神症状が出現する場合があるとも報告されている7)。したがって,覚醒剤精神病に及ぼす有機溶剤の影響は十分に考慮する必要があると思われる。今回,我々は,有機溶剤乱用の5年後に覚醒剤乱用を開始して早期に精神病を呈し,さらにその2年後に有機溶剤再乱用により精神病の再燃をみた症例を経験した。本症例の場合,覚醒剤乱用時における精神病症状と有機溶剤乱用時のそれとでは,少なからず相違がみられ,覚醒剤精神障害の成立過程における,覚醒剤と有機溶剤の相互作用を検討する上で,貴重な症例と思われたので若干の考察を加え報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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