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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻12号

1994年12月発行

文献概要

研究と報告

精神分裂病者・家族の属性別にみたEE(Expressed Emotion)の特徴

著者: 大島巌1 伊藤順一郎2 柳橋雅彦2 岡上和雄3

所属機関: 1東京都立大学社会福祉学科 2千葉大学医学部神経精神医学教室 3中央大学法学部

ページ範囲:P.1234 - P.1243

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 【抄録】 精神分裂病の再発予測因子として知られるEE(Expressed Emotion)の形成要因とEEの概念的実質を解明する取り組みの第1段階として,精神分裂病者本人と家族の属性別に現れるEE分布の特徴を検討した。その結果,下位尺度の「批判」は,本人属性として経過の慢性化や経過の不良性,社会適応状態の悪さと関連しており,「巻き込まれ」は,経過年数の短さや基本的な生活管理にかかわる社会適応度の低さが関与していた。一方,家族属性としては,家族続柄別にEEの分布が異なるとともに,EEと再発の関連に続柄間の差異が認められた。従来研究で重要性が指摘されてきた家族資源については,「批判」が家族外の援助者数の少なさや社会階層と関連していたが,その他の関連性は明確にされなかった。これらの結果をEE形成要因との関連で考察するとともに,今後の検討課題を明らかにした。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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