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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻12号

1994年12月発行

研究と報告

精神障害者の術前術後管理—MPUでの経験

著者: 中村誠1 野村総一郎1 郷原道彦1 岡本浩一1 松平順一2

所属機関: 1国家公務員等共済組合連合会立川病院MPU 2東京海道病院

ページ範囲:P.1251 - P.1257

文献概要

 【抄録】 精神障害者が身体合併症の外科的治療を受ける場合,術前術後の精神症状管理が重要となるが,従来多くの症例に基づいてこの問題を検討した報告はない。本報告では我々の運営する身体合併症治療専門ユニット,MPUにおける128件の手術症例に基づく経験を示し,精神障害者の手術に際しての諸問題を論じた。精神科病名では精神分裂病が64.5%と最も多く,身体病名では悪性腫瘍,骨折が多かった。統計学的には術後に精神症状が有意に悪化するとの結果が得られたが,精神科的な変化がみられなかった例も多く,個々の例をみるとかえって改善した例もあり,精神障害者は外科的侵襲により精神症状が悪化するとの一般的結論を導くことはできない。精神症状が悪化し,身体管理が困難になった場合,思い切った抗精神病薬の増量が重要と思われたが,様々の治療的工夫によっても一般病棟での術後管理に限界があり,結果として身体病の経過にも危機的状況が生じるようなケースが存在することも事実であり,そのような場合の治療の場としてはMPUが適切であると思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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