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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻12号

1994年12月発行

研究と報告

パニック障害の血清コレステロール値—大うつ病,精神分裂病との比較

著者: 山田久美子1 山本久雄1 幸原るり香1 山田健児1 堤隆1 穐吉條太郎1 藤井薫1

所属機関: 1大分医科大学精神神経科

ページ範囲:P.1259 - P.1262

文献概要

 【抄録】 パニック障害(PD)の男性群は心血管系疾患による死亡率が高いという長期追跡調査結果を受けて,PDとコレステロール値(TC)の関連が検討され始めたが統一した見解は得られていない。我々は46例のPD群のTCを性,年齢,喫煙・飲酒習慣でマッチさせた同数の大うつ病群,精神分裂病群と比較し,さらにTCとPDの症状重症度および薬物療法との関連も検討した。その結果,PD群は男女ともに他の2群に比しTCが有意に高かった。PDの症状重症度とTCには関連がなかった。PDの寛解群で治療前後のTCを比較したがTCの低下はみられなかった。以上より,PDの相対的高コレステロール血症には内因性で疾患に特異的な因子の関与が考えられた。予防医学では,特に男性で青年期の相対的高コレステロール血症と中年期以降の心血管系疾患との強い相関が示唆されている。PD男性群の心血管系疾患による死亡率の高さと相対的高コレステロール血症の関係には注意を払う必要があると思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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