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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻12号

1994年12月発行

文献概要

研究と報告

精神分裂病1症例の発病後にみられた事象関連電位の変化

著者: 沓沢理1 新山喜嗣1 藤原龍一1 佐藤直紀1 伏見雅人1 関根篤1 菱川泰夫1

所属機関: 1秋田大学医学部精神科学教室

ページ範囲:P.1267 - P.1271

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 【抄録】 健康被験者として事象関連電位(ERP)を記録していた対象のうち,その後に精神分裂病を発病した1症例について,再びERPを記録する機会を得た。この症例において,発病前と発病後のERPの成績を比較した。その結果,各ERP成分の発病後の最も著明な変化として,P300の頂点潜時が発病前と比べて有意に延長していた。また,このような延長は抗精神病薬の服薬と無関係であった。発病前のPzでのP300潜時と反応時間との間では相関係数が0.5以上の有意な相関を示した。しかし,発病後にはこれらの間における相関の強さは著明に低下していた。今回の結果から,本症例では,精神分裂病といった病的過程のためにP300潜時が新たに延長したものと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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