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文献詳細

雑誌文献

精神医学36巻12号

1994年12月発行

短報

1H-MRSによる側頭葉てんかん患者の脳代謝に関する検討

著者: 山沢浩1 喜多村雄至1 宮内利郎1 萩元浩1 遠藤青磁1 梶原智1 田中謙吉1 藤田春洋1 岸本英爾1

所属機関: 1横浜市立大学医学部精神医学講座

ページ範囲:P.1285 - P.1288

文献概要

 近年,画像診断の進歩により側頭葉てんかん(TLE)の責任病巣の研究が注目されている。Jacksonら8),Kuznieckyら9)は,難治性のTLEにmagnetic resonance imaging(MRI)上,脳動脈奇形や良性glioma,過誤腫以外に側頭葉内側硬化(特に海馬硬化)を高率に認めたとし,Goldringら5),森竹ら11)は病理組織の検討から発作の原因は,神経細胞の脱落・消失とgliaの増殖(gliosis)であるとしている。しかしながら,画像診断で必ずしもTLEの発作焦点が同定できるとは限らないようである3,4)
 magnetic resonance spectroscopy(MRS)は,原子核の自転による磁気共鳴現象を化学シフト表示したもので,生体の生化学的状態を非侵襲的,定量的に測定できることから,近年31Pや1Hなどの核種を用いて,脳腫瘍,脳梗塞など各種組織の生理学的,生化学的解析や病態の代謝学的解析などに応用されている12)。Miller10)は,1H-MRS測定可能なN-acetyl aspartate(NAA)は神経細胞に特異的に多く含まれる物質であることから,神経細胞の活動の指標になるとしており,てんかん原性焦点の検出に有用なことがうかがえる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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